ー恋愛、対人・人間関係、自己成長に効果ー

Posted by takahashi on 1月 6th, 2012

カウンセリングルームの窓から(35)

孝雄さんは、どうしてこんなにも梨佳さんに魅かれるのか、今でも解らないと
いう。しかも、この2年間という時間を冷静に客観的に自分の気持ちをみつめて
きたというのだ。「確かに親しみはありましたが・・もっと素敵な女性はいたし
飛びきりの美人ではないと今も思っています。・・ですが彼女しか見えないので
す」「今のお気持ちをそのまま梨佳さんに伝えたら如何ですか、女性はその方が
嬉しく思いますよ」、「ハァそうなんですが・・言えないのです。僕は一度梨佳
を振っているんです」「・・・」。

 孝雄さんは在学中から公認会計士を目指し卒業して2年目で取得した。とにか
く「幸せ」は経済的安定にあると信じ、中学の時から高校受験、大学受験、就職
など確実に正確に達成してきたという。スポーツも万能で高校の時は硬式野球の
エース、甲子園には行けなったが地方大会のベスト4だ。大学時はゼミの代表と
しても活躍した。私の時代と違うのか麻雀、パチンコ、映画・音楽にも目もくれ
ず現実をみて着実に自分の願望を叶えてきた、と今の今まで孝雄さんは確信して
いた。しかし、大学の時に同じゼミにいた梨佳さんから「想い」を聞かされた時、
何も感じなかった、むしろ、田舎から出てきた「いも姉ちゃん」位に見えていた
という。そして、半年経った今年ゼミのOB会で梨佳さんに再会した。絶世の美
女には見えなかった、大学時代の面影がある「いも姉ちゃん」にも見える、しか
し何かが違う!その何かに魅せられたのだろうか。

 「梨佳さんは何が変わったのでしょうね」「解りません。だけど魅力的です」、
「仕草とか、言葉の選び方とか、性的魅力とか?」「いいえ、全部そうですが・・
」、「快活になった、生きいきしている」「そうです!輝いて見えるんです、そ
れだけでなく活発でも優しさがあるんです」。孝雄さんは梨佳さんと言葉を交わ
さなかった、それほど彼には衝撃的だったのだろう、言葉を交わせる余裕など彼
にはなかったのだろう。梨佳さんが何をしているのか、恋人がいるのかも分から
ない。「大学の時はそれほど快活ではなったのですか」「・・いいえ快活でした、
」、「大学の時も優しかった、ですね」「・・はい、・・やっぱりやさしかった」
、「何が違うのでしょう」「何も変わっていないけど『何かが違うんです』!」。

 孝雄さんは「違い」を他人に見ている。梨佳さんは何も変わっていないのです、
大学の時と同じように快活で明るくて優しい女性なのです。変わったのは孝雄さ
ん自身です。勿論、梨佳さんは学生時代より人間として成長して「変わった」の
ですが。孝雄さんだけでなく私たちは、物事を固定的にみたり、見る、聞く、嗅
ぐ、味あう、触れる、考える、という情報をあるがままに「情報処理」できてい
ないのです。恋人同士が「愛してる」と同じように伝えてもその意味は違うので
す。男と女で例えれば男は肉体的な意味、女は精神的意味です。それをお互いに
同じと想うから誤解(ズレ)が生じます。そしてこのズレは決して埋めることが
できないのです。このことは男女のズレにとどまらず、同性であっても異性であ
っても、人生観、物事・現象の価値判断、社会観などに置いても出てくるのです。
宗教、社会体制、政治理念等々すべて一人ひとりの人間は「違い」があるのです。
ですから、「同じ」には決してなりません。「違い」があって当然と知れば「同
じ」にする必要はありません、だから苦しみも悩みも出てこないのです。それが
「知る」ことです。

 孝雄さんはもう一つの「過ち」をしていました。それは「自分は絶対」という
考えです。自己を洞察するのではなく、人間や世間ばかり見ているという過ちで
す。孝雄さんは、大学時代には梨佳さんを見ていたが自分の心を観ていなかった
のです、大学の時に既に梨佳さんを意識していたのです、大好きだったのです。
ではどうしてか、簡単です、「気付き」が遅いのです。世間にばかり目がいって
肝心の自分に目がとどかない裸の王様です。流されてはいけませんね。現実をき
んと直視するのは大切です、自分の「物差し」だけでなく! 一度振った女性を
オカッケルのも「いとおかし」です。
       
      
      次回も「カウンセリングルームの窓から(36)です」

ーうつ病(新生)・神経症、対人関係等に効果2ー

Posted by takahashi on 12月 18th, 2011

カウンセリングルームの窓から(34)

どうして妻は夫である私に対して邪険な態度をするのだろう、先日も私のに何
も云わずに実家(練馬区)に帰り「遅くなるから外食して」とメールしてきた。
長男(高校生)も長女(中学生)も父である私に対して尊敬の念をまったく持っ
ていないような態度である。職場でも部下はきちんと挨拶をしない時もある、部
長の上司は私の能力を認めずに失敗ばかりである。周りの人間は碌な者はいない、
碌でもない人間と自分で解っていないから恥知らずのごとく阿修羅のごとく、私
という人間に頼って来るのである。私がいなければ何もできない人間ばかりだ!
何故私に対して「敬意」を払わないのだ!!

・・「怒りが頂点の時に目が覚めるのですね」「ハイ、決まって4時です」、「
まったく同じ夢ですか」「詳細には覚えていませんが目覚める瞬間はいつも絶叫
しています」、「ご家族や仕事関係の方以外に夢に出てくるのは」「殆どが家族
や職場の人間ですが家族や仕事場が入り混じったり、芸能人やプロスポーツの選
手が出てきたり知らない顔も見かけます」、石田さんは52歳の会社員でこの4
月に子会社に出向しているのだがリストラの対象になっている。仕事は定時で終
わり楽なのだが出向してからこの夢をみるという、性格は心理テストからも温厚
で律儀であるが自分を抑え込んでしまうような性格もうかがえた。家族や会社に
対して尽くす忠誠心は何かに執着しているかのように凄い、この30年間は慶弔
以外は休暇を取らない肺炎でも仕事をし救急車で運ばれる、住宅ローンや教育費
生活費等がかさむなか海外へ家族旅行、私から見ればパチンコ依存症の妻も咎め
ない、夜な夜な渋谷、新宿、池袋と遊び耽る放蕩娘にも優しいばかりで尋常なつ
くし方ではない。面談を重ねるうちに「私は怒ることができないのです」「どう
してですか」、「商売をしていたので両親はかまってくれませんでした、祖母に
育てられました。何をしても怒りません。故意に味噌汁をこぼしても怒らず笑っ
ていました」「優しかったのですね」、「いいえ、優しくなんてありません。4
年生までは優しいお祖母ちゃんと思っていましたが。帰ると母に笑いながらジョ
ウロで水をかけているのです、驚きました、止めようと思ったのですが動くこと
も声を出すこともできませんでした、そして言ったんです『聡は毎日毎日おみお
つけこぼすよ』私がこぼしたのは1回だけです!」「はじめて話されたのですね」
・・頷き男泣きしていた。

 正直に吐露できるとステージが上がり核心に迫っていく、筈であった。しかし、
以後石田さんは正直な感情に蓋をしたように押し殺し、妻の「依存症」娘の「不
良」に対する父親としての「方法論」を求めてきた。妻の娘の「課題」はある、
それ以前に石田さんの自身の解決が先決である。「次回は味噌汁の話しましょう」
足が止まる「ハイ、解りました」、私のギャンブルである、彼が来るか否かで収
入の出入りが決まる。生活を賭けた言葉である、また、彼にとっては「縁」が在
るか否か、それは本人が決める。

 その日石田さんから電話があった「スミマセン15分遅れます」「はい、分か
りました、お待ちしています」、やはり来た、来るはずである。本音を吐露した
時点でステージが上がっているのである。それを「気付いて」貰うのもカウンセ
ラー勤めである。思惟カウンセリングは「次回は味噌汁・・」ではじまっている
のである。苦悩を持つ意味を知ると苦悩が人格の成長の糧になると知る、しかし、
やりたいのだが言えない人間があまりにも多い。「やろう!」と言ってやるのが
労わりと想う。何故ならあまりにも長い時間悩み苦しんでいるのだから。
 
 「石田さん、怒ることはいけない。では、怒こらないで奥様と娘さんを援助で
きることは何ですか」「きちんと正々堂々と『叱る』ことです」、自己洞察を通
して「過去の味噌汁事件・・」「今の家族への自分の対応」にも同時に気付いた
のです。怒るは感情、叱るは理性です。石田さんの「叱るトレーニング」今も続
行中。

       次回も「カウンセリングルームの窓から(35)です」

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